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あしのうら

怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像

蘭 郁二郎

蘭郁二郎『怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像』。同一底本的分册已合并为一书。收入:足の裏、穴、息を止める男、腐った蜉蝣、幻聴、孤独、舌打する、植物人間、蝕眠譜、自殺、鉄路、脳波操縦士、古傷、鱗粉。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 109,233 字 · 223 页

青空文庫

わけであろうから)漸く「他殺」と決定された程であった。

が――、あの「白服の男」は、何処へ消えてしまったのか。

月はなくとも、満天の星で、白服を見失うほど暗くはなかった。それに鷺太郎は、それにのみ注意していたのだから――、でも、見えなかったのは事実だ。

その男は、殺した女の死体の中に、溶けこんでしまったかのように、消え去ったのである。

これには、警官も弱ったようだったが、結局、

『それは君、君だけがこの死体を発見して、僕のところへ知らせに来る間に、それまで草叢の暗がりに隠れていて、逃げてしまったんだろうよ――』

鷺太郎は何か釈然とした気持になれなかったけれど、この場合、それ以外に一寸適当な解決は望めなかった。その釈然と出来なかった原因は、あの男がひどく山鹿十介に似た後姿をもっていた、ということと、その二人連れが、山鹿の別荘から出て来たということであったのは勿論だ。

警官には、

『その二人は、どこかその辺の角から出て来たらしく、散歩の途中、ふと前の方を見ると、あの二人が、何か話しながら、歩いていたのです――』

といって置いたけれど、何故そんなことをいってしまったのか、後になって、どうも思い出せなかった。