轻松读懂日语经典作品
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きょうふのくちぶえ
恐怖の口笛
海野 十三
「富士」1934(昭和9)年8月号~11月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 60,713 字 · 122 页
この上はあすこで見掛けた西一郎を引張ってゆくことにしよう」
しかし課長が下に下りたときには、その西一郎の姿もなくなっていた。
パチノ墓穴の惨劇
夜の幕が、帝都をすっかり包んでしまった頃、羽田航空港から本庁あてに報告が到着した。
「竜宮劇場の広告気球を探しましたが、生憎出発が遅かったので、三千メートルの高空まで昇ってみましたが、遂に見つかりませんでした。そのうちに薄暗になって、すっかり視界を遮られてしまったのでやむなく下りてきました。まことに遺憾です」
捜査本部に於ても、それはたいへん遺憾なことであった。せっかく屋上に追いつめた痣蟹を逃がしてしまったことは惜しかった。しかしいくら不死身の痣蟹でも、そんな高空に吹きとばされてしまったのでは、とても無事に生還することは覚束なかろうと思われた。結局それが痣蟹の空中葬であったろうという者も出て来たので、本部はすこし明るくなった。
「吸血鬼事件も、これでお仕舞いになるでしょうな。どうも訳が分らないうちにお仕舞いになって、すこし惜しい気もするけれど」
それを聞いていた大江山捜査課長は、奮然として卓を叩いた。
「吸血鬼事件が片づいても、まだ片づかぬものが沢山ある。