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きょうふのくちぶえ
恐怖の口笛
海野 十三
「富士」1934(昭和9)年8月号~11月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 60,713 字 · 122 页
「オイ西君」と課長は冗談ともなくそっと連れに囁いた。「このあたりに混血児はいないかネ」
「混血児で一番近いのは、アレですよ」と一郎はジュリアの方を指した。
「なにジュリアか」とハッとした風であったが、「そう云われると、なるほどジュリアは混血児みたいなところがあるが……私の云っているのは、この玉川附近にもう七十歳ぐらいになる混血児が住んでいるのを知らないかというのだ」
「そんなのは居ませんよ」
「いないというのかネ。君はハッキリ云うから愉快だ、何も知らない癖に……」
と独り合点の課長は、斜ならざる機嫌に見えた。しかし後に分るようにこれらの会話は決して冗談ではなかった。それが持つ重大な意味が今課長に分っていたとしたら、彼はそんなに恵比寿顔ばかりはしていられなかったであろう。――ジュリアは球をグリーンに入れて、二人の方へ手をさしあげた。
第三のコースでは、また三人が一緒になって球を打っていった。
「君たちはだいぶ仲がいいようだが、まだ私に媒酌を頼みに来ないネ」と課長は更に機嫌がよかった。
「よして下さい。ジュリア君の人気に障りますよ」と一郎が打ち消すのを、ジュリアは、