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よろこばしきちしき

悦しき知識

深瀬 基寛

――停年講義(昭和三十三年九月十六日)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,972 字 · 33 页

青空文庫

そうするとですね、この poetry ――詩――というものは、五官に訴える訳ですけれども、本当の詩の狙いどころはですね、五官を通ずるんですけども、何か五官を越えた実在とか、何かそういうものの存在を詩人が確信してですね、そういうものを何とか、その、素人に、おれはこう思う、これはもう実に――もうこれだけは俺の命だと、これを何とかして皆に伝えたい、こういうのが詩人の詩作動機なんであります。

そうするとですね、科学が手に触れられない世界へ向ってどんどん迫りつつある。と、詩人が同じ衝動を又別な仕方で感じている。ここに妙な、科学の狙いどころと詩の狙いどころとの接近が最近に現われたのであります。そこでこのマイクロコズム、micro-event 時代の科学に対して詩というものがですね、又この micro-event をうたう詩がどんどんこの頃生れつつあるのであります。ごく一例を言いますと、アメリカの、ウォレス・スティーヴンズ――これは去年かなくなりました――という詩人がありますけれども、これがこの、‘poetry of the action of the brain’ですか、「頭脳の活動の詩」