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あくまのでし

悪魔の弟子

浜尾 四郎

「新青年」1929(昭和4)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,202 字 · 51 页

青空文庫

ことには慣れない寮生活の事です、私は毎夜殆ど眠ることが出来ませんでした。私は苦しい気もちで、毎日教室に出ていたのです。

丁度十月十日の夜です。其の夜も私はどうしても眠れぬ為、夜半の二時頃、校庭におりたったのでした。暗い校庭の秋草の中にふと私は人影を見い出しました。

それがあなたでした。

あなたと私とはそれ迄、一回も話しをした事はありません。然し、夜半の二時頃、二人の寮生が秋草茂る校庭に立った時、そこに何かの会話が行われることは決して不思議ではないのです。極めて自然にわれわれは話をしました。私が第一にあなたに云ったのは、自分がこの一ヶ月程眠れずに苦しい夜半をあかしていることでした。するとあなたは、この私の言葉に非常に動かされました。あなたはもう其の時二年も前から常に不眠症に罹っておられたのです。暗い空の下で二人の会話は眠られぬ夜のことにむけられ、話はこれから進み、二人はだんだん親しみ得られたのです。あの夜明け頃にはわれわれ二人は完全に美しき友情を以て結びつけられていたのでした。

然るに不幸なことに私は其の苦しい病気まであなたに似て来たのです。私はあなたにあう度に自分の苦しみを訴えました。