轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

あくまのでし

悪魔の弟子

浜尾 四郎

「新青年」1929(昭和4)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,202 字 · 51 页

青空文庫

一

一

××地方裁判所検事土田八郎殿。

一未決囚徒たる私、即ち島浦英三は、其の旧友にして嘗ては兄弟より親しかりし土田検事殿に、此の手紙を送ります。

検事殿、あなたは私を無論思い出して居らるる事でしょうね。仮令他の検事によって取り調べられ、次で予審判事の手に移されてしまった私であっても、あの、世間を騒がした美人殺しの犯人として伝えられ、新聞紙上に其の名を謳われたに違いない以上、同じ裁判所に居るあなたが、今度の事件に就て私の名を見ない筈はなく、又聞かない筈もありません。

若しあなたが私に会ってくれたなら、恐らく此の手紙をあなたに書く必要はなかったかも知れません。私は私の旧友が、今私の収容されて居る刑務所が属して居る裁判所に居る事を、もっと早く思い出したなら、或いはこんなに永く苦しまなくてもよかったかも知れないのです。そうして恐らく私は、ここに書こうとする恐ろしい奇怪な経験を、もっともっと早く述べる事が出来たに違いないのです。

土田検事殿、私は殺人犯人としてここに収容されて居ます。然し多分私は実は其の犯人ではありません。そうです。多分です。私は斯う云わなければならないのを悲しみます。