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あくまのでし

悪魔の弟子

浜尾 四郎

「新青年」1929(昭和4)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,202 字 · 51 页

青空文庫

三

私は、知識を得て魂を売りました。私はあなたの変った恋愛の為にからだを犠牲にしたことはなお忍ぶとしますが、魂を売ったことを思うと口惜しくてたまらないのです。

土田さん、私は恨み言をくどくどと云いすぎたように思います。こんな事を云って居れば限りがありません。私が此の手紙をあなたに書き出した目的は、さきにも一寸申した通りあなたを責めるばかりではないのですから、早く目的に入りましょう。

三

責める為ではないのですが、一つだけはっきりと申しておかねばならぬ事があります。それは私があなたに依って如何に性格を変えられたか、と云うことです。

私がはじめてあの校庭であなたに会った頃、私は弱い、虫も殺さぬ少年でした。ところがそれからあなたは私にあう度に、しきりにいろいろな恐ろしい話をしたことをおぼえているでしょう。元来ならば私には、恐怖とか怪奇とか犯罪、などという事は極めて興味のないものだった筈なのです。

あなたがそれを極端に好んで居るからというところから、しきりに私にその方面の文学や知識を紹介されました。今から思えば、私にそういう自分の趣味を強いて私に毒酒を呑ませること自身が既にあなたの趣味だったのでしょう。