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ゆかいなきょうしつ

愉快な教室

佐藤 春夫

「マドモアゼル 第一巻第五号」小学館、1960(昭和35)年5月1日

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 10,276 字 · 21 页

青空文庫

(6)

「そう、よかったわね、そうしてどこへ行っていたと言った?」

とE子はまるで人間も犬や猫も同じように考えているようなことを言ったのは、M子にはおかしくて仕方がなかったという。

(6)

みんなで犬を飼っているせいというのでもあるまいが、このクラスはみんな気がそろって全級、非常に仲がよく、できるだけ長くみんなでいっしょにいたいという希望がみんな口に出さないうちに心のなかにはある様子であるが、三年の二学期になったころ、学校を卒業したら、みんな揃ってX百貨店のニューヨーク支店に集団就職しようと言い出した者があって、一時は全級五十人の大半がそのブームに巻き込まれていたものであった。

それというのもクラスのF子というのは某百貨店の重役の娘で、その子の兄が今は東京本店の呉服部の主任をしているが、そのうちに今度新設したニューヨークの支店長になるはずで、その時にはF子はニューヨークの店員になって行くから、その時はみんなもいっしょに連れて行くと言ったとH子が言い出したのが、このブームの起りなのであった。

しかしH子の話ではあまりあてにはならないというのでE子が直接F子に聞くと、F子は当惑したような顔をしただけで、あまりはっきりした返事をしない。