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おろかなおとこのはなし

愚かな男の話

岡本 かの子

「キング」講談社、1936(昭和11)年5月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,390 字 · 3 页

青空文庫

そしたら壁は腐った」

以上二話とも、あまり意気込んで程度を越した考えは、却って不成績を招くという道理の譬え話になるようである。

○

「或るところに狡くて知慧の足りない男があった。一月ばかり先に客を招んで宴会をすることになった。ところで其の宴会に使う牛乳であるが、相当沢山の分量が要るのである。

それを其の時、方々から買い集めるのでは費用もかかり手数もかかると、男は考えたのである。そこで知人から乳の出る牝牛を一ヶ月の約束で賃借りして庭に繋いで飼って置いた。

牝牛の腹から出る牛乳を毎日搾らずに牝牛の腹に貯めて置いたなら、宴会までには三十日分のものが貯って充分入用の量にはなるだろうと思ったのである。

宴会の日が来た。男はしてやったりと許り牝牛の乳を搾った。そしたら牝牛の腹からはやっぱり一日分の分量しか牛乳は出なかった」

○

「何か勲功があったので褒美に王様から屠った駱駝を一匹貰った男があった。男は喜んで料理に取りかかった。なにしろ大きな駱駝一匹料理するのであるから手数がかかる。切り剖く庖丁はじき切れなくなって何遍も研ぎ直さねばならなかった。