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けんせいのほんぎをといてそのゆうしゅうのびをなすのみちをろんず

憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず

吉野 作造

「中央公論」中央公論社、1916(大正5)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 85,839 字 · 169 页

青空文庫

これら三つの種類があるが、要するに教育上の制限ならば畢竟は蛇足に過ぎまいとは思うけれども、これを設けても大した弊害はない。けだし甚だしき高き制限に非ざる以上、教育の普及したる今日、この制限はあるも無きも同一なるべきを以てである。しかるに納税または財産上の制限ということになると、これは実に今日の時勢に適せざる極めて不当なる制限である。何となれば今日にあっては財産の有無はもはや人類教養の有無を分かつ有力な標準ではないからである。もっとも財産もしくは納税上の制限が選挙権享有の必要条件となった沿革については相当の理由がある。その訳はこの制度の起源たる英国の国会というものは、モトモト租税を承諾し、予算を討議するための機関であったからである。されば初代の英国国会に在りては租税を納むるものでなければ議員となるの必要がなかったのである。しかして今日の国会はもはや昔とは丸でその意味を一変して居るのだから、昔と同じ理由で以て仍然この納税資格を法律上に認むる事はもちろん出来なくなった。もし今日においてもなおこの資格制限を維持せんとせば、あるいは恒産なきものは恒心なしとか、またはこの制限を設けざれば浮浪の徒また政権に与るの危険ありとかいう類の理屈を捏ねなければならぬ。