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けんせいのほんぎをといてそのゆうしゅうのびをなすのみちをろんず
憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず
吉野 作造
「中央公論」中央公論社、1916(大正5)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 85,839 字 · 169 页
故に特に制限選挙でなければ適才は得られないという実際上の根拠あるのではない。それならば選挙人を非常に少数にすればよいかというに、この場合は一見可なるが如くにしてその実却っていわゆる主客顛倒の形を馴致し、候補者が不正手段を以て選挙人の意思を籠絡するという弊を導き易い。現に選挙人の極めて少数なる例はこれを間接選挙制度==人民が選挙人を選び、選挙人が更に代議士を選ぶ制度==に見るが、この制度の実際上の経験に徴する時は、亜米利加の大統領選挙の場合におけるが如く、人民が余りに政治に熱心なるがために選挙人は全然人民の意思に左右せられ、以て間接選挙をして有名無実に終らしめて居るのもあるけれども、普魯西〔プロシア〕の下院議員の選挙においては、人民頗る冷淡なるの結果、少数なる選挙人の専横を来し、ために議会においては特権階級の大跋扈を見て居るのである。要するに選挙人の数を制限する時は、あるいは専制者流の乗ずるところとなり、あるいは腐敗手段の毒するところとなり、いずれにしても良結果を社会に与うることはない。即ち請託、買収、脅迫等の不正手段は選挙権者の数少なきに乗じて、盛んに活躍するものである。