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けんせいのほんぎをといてそのゆうしゅうのびをなすのみちをろんず

憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず

吉野 作造

「中央公論」中央公論社、1916(大正5)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 85,839 字 · 169 页

青空文庫

かくては政策の終局的決定を人民一般の意嚮に置くという趣意が通らない。故に超然内閣制は断じて立憲政治の常則ではない。もっとも単純な憲法論から言えば、国務大臣は独り君主に対してその責に任ずる者であるから、議会の反対に逢ったからと言って必ずしも直ちに当然その職を辞せねばならぬ筈のものではない。従って超然内閣でも憲法違反にはならない。即ち違憲なりという訳には行かない。けれども立憲政治の精神に背くものなることは前述の通り明白である。従って超然内閣制は非立憲の譏を免るることは出来ない。世間往々憲法法理の議論と、憲法精神の政治論とを混同して事物の精密なる判断を誤る者あるが、この責任内閣制などを論ずる時にも、法律上許されないという違憲論と、憲法運用の精神に合するや否やの非立憲説とを混同する者往々にしてこれあるが、これは心して慎まねばならぬ。かくて憲政の円満なる運用如何の問題を論ずる場合には、ただその事が違憲ならざるや否やの点のみを見たのでは定まらない。更に非立憲ならざるや否やの点をも見なければならない。違憲なるものはもとより初めから問題とならない。違憲ならざるものの中にも更に細別すれば、立憲的なるものと非立憲的なるものとある。