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けんせいのほんぎをといてそのゆうしゅうのびをなすのみちをろんず

憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず

吉野 作造

「中央公論」中央公論社、1916(大正5)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 85,839 字 · 169 页

青空文庫

否往々これを以て憲法の唯一の特色なりとすら考うるものも尠くはない。それほどにこれが大事な特色なのである。されば歴史上からいっても、憲法の要求または憲法政治創設の要求は、しばしば「我に民選議院を与えよ」という叫びによりて主張せられておった。現に我が国においても、憲法要求の第一声たる明治七年一月十八日の建議は、板垣退助、後藤象二郎、副島種臣、江藤新平、小室信夫、古沢迂郎、由利公正、岡本健三郎八氏の署名を以て民選議院設立建白書という形で提出された。また明治十三年四月十七日、片岡健吉、河野広中両氏の連名にて太政官に執奏を願い出でて拒けられた第二の建議も、国会開設願望書というのであった。これけだし当時の人々が民選議院の制度を以て立憲政治の全部または少なくともその大部分と考えていたためであろう。この種の考えは無論西洋にもあった。しかしてかかる誤解の生じたのも、畢竟この制度が立憲政治の数ある特色の中、特に擢んでて最重最要のものであったからである。しからば何が故にこれが最重最要であるかというに、この機関のみがその組織に人民の直接に干与し得るものであるからである。