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けんせいのほんぎをといてそのゆうしゅうのびをなすのみちをろんず

憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず

吉野 作造

「中央公論」中央公論社、1916(大正5)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 85,839 字 · 169 页

青空文庫

ただ不幸にして我が国においては今日なおこの種の信者を少なからず見るのであるが、しかしこの説の謬なる事は深く論ずるの必要はなかろう。仮りにこの説に多少の真理ありとしても、今更憲法をやめて昔の専制政治に復るという事は事実不可能であるから、我々は、憲法政治はもはやこれを廃止するを得ずという前提の上に立って、国家の繁栄と人民の幸福とのために徐ろに最善の努力を加うべきでないか。第二の不満は、現在の憲法的制度を以て必ずしも第一説の如くその本来の目的を達するに適せざるものと視るのではないが、ただその制度に欠点あり、またその運用の方法に適当ならざるところありしがために予期の如き成績を挙げないのであると観るの説である。前者の絶対的に対して予はこれを相対的悲観説と名づけたい。これはもとより一種の悲観説ではあるけれども、現在の制度に幾多の改善を加え且つその運用を適当に指導するときは、自由の保障、幸福の増進という本来の理想を実現すること必ずしも不可能に非ずと信ずるものであるから、一面においてまた一種の楽観説であるともいえる。この説は今日多数の人によって唱えらるる通説である。