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けんせいのほんぎをといてそのゆうしゅうのびをなすのみちをろんず

憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず

吉野 作造

「中央公論」中央公論社、1916(大正5)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 85,839 字 · 169 页

青空文庫

しかしながら総ての憲法に通ずるいわゆる立憲政治一般の根拠を成すところの精神というものは、大体においてまたこれを知る事が出来ぬでもない。けだし近代の憲法政治は疑いもなくいわゆる近代の精神的文明の潮流と離るべからざるの関係にある。近代文明の大潮流が滔々として各国に瀰漫し、その醸するところとなって憲法政治は現われ出たものである。されば近代諸国の立憲政治には、共通の一つの精神的根柢の存する事は争われない。もっとも旧時代の遺物たる特権階級の今日なお勢力を振るう国においては、世界の大勢に促されて憲法を発布したるに拘らず、依然これを旧式政治の思想を傷つけざるように運用せんと欲して、自国憲法の精神が、何ら他国の憲法と共通なる基礎を有せず、むしろ自国特有の色彩を有する旨を誇示高調するものも少なくはない。我が国において往々見るが如き、純然たる国民道徳の基本観念たるべき国体観念を憲法学へ援引して、西洋流の立憲思想による憲法の解釈を阻まんとする風潮の如きは即ちこれである。露国などもまたこれと同様で、殊更に西欧憲法に通有なる諸原則の適用を阻まんがために、わざわざ共通の称呼を捨てて、古風な文字を憲法条文中に使って居る。