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けんせいのほんぎをといてそのゆうしゅうのびをなすのみちをろんず
憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず
吉野 作造
「中央公論」中央公論社、1916(大正5)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 85,839 字 · 169 页
そこで我々は今日の国家の政治上の特色を言い表わすに、昔の希臘に起った文字をそのまま借用するのである。
しかるに洋語のデモクラシーという言葉は、今日実はいろいろの異なった意味に用いらるる。予輩のいわゆる民本主義は、もちろんこの言葉の訳語であるけれども、この原語をいつでも民本主義と訳するのは精確でない。デモクラシーなる言葉は、いわゆる民本主義という言義の外に更に他の意味にも用いらるることがある。予輩の考うるところによれば、この言葉は今日の政治法律等の学問上においては、少なくとも二つの異なった意味に用いられて居るように思う。一つは「国家の主権は法理上人民に在り」という意味に、またモ一つは「国家の主権の活動の基本的の目標は政治上人民に在るべし」という意味に用いらるる。この第二の意味に用いらるる時に、我々はこれを民本主義と訳するのである。第一の意義は全然別個の観念なるが故に、また全然別個の訳語を当て嵌めるのが適当だ。しかして従来通用の民主主義という訳語は、この第一の意味を表わすに恰も適当であると考える。従来我が国では、西洋でこの間の区別を顧みず、ただ一概にデモクラシーと称えたと同様に、第一の意味に用いられた場合も第二の意味に用いたる場合も、等しくこれを民主主義と訳したのであった。