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けんせいのほんぎをといてそのゆうしゅうのびをなすのみちをろんず

憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず

吉野 作造

「中央公論」中央公論社、1916(大正5)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 85,839 字 · 169 页

青空文庫

顧みれば墨西哥は建国以来ほとんど変乱の絶えたことはない。この国が西班牙から独立したのは今より約百年の昔であるが、それ以来今日まで大統領の地位は常に血を以て争われ、歴代の大統領中無事に天命を全うし得た者は極めて少ない。多くは暗殺の厄に罹り、さらでも海外に放逐せられて悲惨なる最後を遂げたのである。最近ポルフィリオ・デアスは三十余年の永きに亙って大統領の地位を専占し、その間墨西哥の平和的産業の発達を計ったというけれども、この三十年間の継続的平和も、畢竟は反対党の買収、投獄、放逐、暗殺等によって購ったもので、決して健全なる平和ではなかった。一九一一年、多年時めいたデアスもマデロの逐うところとなってより、紛乱は再び始まった。マデロはまた一昨年の二月幕将ウェルタの殺すところとなり、ウェルタに対する憲政軍の反抗となり、一転してまた憲政軍の頭目カランザとヴィアとの反目抗争となり、一昨年の五月ウェルタの外国に亡命してから昨年の六、七月頃までの間に、首府墨西哥の主人を代うること前後八回の多きに及んだ。去年の秋米大陸諸国が協議の上カランザを承認しこれを助けるという事にしたから、これより段々収まりがつくかも知れないが、しかし隣邦合衆国の如き幸福な政治を見るに至る見込の極めて遠きことは、もとより言うを俟たず、否多少の紛乱は今後暫く