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わがじんせいかん
我が人生観
08 (八)安吾風流譚
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,617 字 · 23 页
私から事の次第をきいて納得し、狸のホコラまで案内してくれたが、彼は自転車をひっぱりながら急ぎ足で突き進むから、重い荷を背負った私は、彼に足を合せるために疲れきってしまった。すでに狸のホコラまでで精根つきた感があった。
ここから、いよいよ山中にはいる。谷に沿うて行くと丸木橋が渡してある。それを渡って登ると、彼の山小屋へ辿りつける筈なのだが、このドシャ降りで丸木橋が流失したということを、気付くのがおそすぎた。
谷に沿うて小径を登りつめると、山径は谷と区別がつかなくなる。道自体が岩であるから、ドシャ降りが山から流れて径を流れ落ち、道だか谷だか分らない。そして、そのうち、まったく、谷になってしまう。やむなく、径の岐路まで戻ってきて、別の一方を登りはじめる。これも道だか谷だか分らなくなって、しまいに谷以外の何物でもなくなる。
すべての道はローマに通じなくとも、里から里へ、いずれは人の居るところへ通じるのが当り前だが、山の径だけは、ダメです。木コリだけの歩く径が主で、どこにも通ぜず、山の奥で自然消滅するのである。どの径を歩いても丸木橋は現れず、径は山中で自然消滅してしまうから、私もようやく、丸木橋が流失したと悟った。