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わがじんせいかん
我が人生観
07 (七)芥川賞殺人犯人
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,326 字 · 17 页
由起しげ子さんの話によると、彼女の良人たる(あるいは離婚せるやを知らず)I画伯は、アイツが芥川賞になるなら、オレがなれないはずはない。アイツのことを書いて芥川賞をもらってみせる、と、小説の製作にとりかかったという話である。
大そう面白い話であるから、
「本当に芥川賞がとれるような小説ができると愉快だな。書けそうですか」
「とても利口で器用な人です。何をやっても、私よりもすぐれてますから、小説も私よりは上手にきまっています。私が芥川賞をもらったぐらいですから、もらえるにきまっています」
と、彼女はニコリともせず答えた。私はさッそく某誌の編輯者に、
「Iさんのところへ小説をもらいに行きたまえよ。面白そうな小説ができるらしいぜ」
とケシかけると、彼も大乗気で出かけた筈であるが、その後の成行については、まだ聞いていない。Iさんが大人げないと断念したのなら、まことに残念だ。芥川賞事件も殺人から民事事件に及んで、誰がワガママ身勝手であるか、ワカラズ屋は誰であったか、その足跡正体をおのずから筆の内外に叙述するとすれば、日本の文運、これによって隆盛をきたすこと明かである。