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〈わがあいするしじんのでんき〉(ほい)

〈我が愛する詩人の伝記〉(補遺)

室生 犀星

「婦人公論 第四十三巻第五号」1958(昭和33)年5月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,167 字 · 22 页

青空文庫

との睦まじい雪ヶ谷の家の生活を思い、それぞれの不幸を思う者である。死んだ人間は何も彼もかたがついているが、かたのつかないのは、生きている間に思われていたのが真実であるにはあったものの、その本性がつかめない口惜しさにあることであった。だが、熱情と純度の濃やかな佐藤があれほどの俗物風な事務を平然と行うていたかに、いまだに疑いを私は持っている。だが、しんの確かりしていた彼は後事を托するに足りないわかい夫人を見さだめていたのであろうか、人の心は測り難く、また人間の情事のふかさをさぐる事は出来ない、私の拙文が親愛の度が極まって故友を傷つけたことになるなら、三拝して彼の墓下に礼を行いたいのである。