轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
あるおんな
或る女
有島 武郎
2(後編)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 205,655 字 · 406 页
といった。葉子はそれを聞いてほほえみながら古藤が二人を塾につれて行った時の様子を想像してみた。例のようにどこの玄関番かと思われる風体をして、髪を刈る時のほか剃らない顎ひげを一二分ほども延ばして、頑丈な容貌や体格に不似合いなはにかんだ口つきで、田島という、男のような女学者と話をしている様子が見えるようだった。
しばらくそんな表面的なうわさ話などに時を過ごしていたが、いつまでもそうはしていられない事を葉子は知っていた。この年齢の違った二人の妹に、どっちにも堪念の行くように今の自分の立場を話して聞かせて、悪い結果をその幼い心に残さないようにしむけるのはさすがに容易な事ではなかった。葉子は先刻からしきりにそれを案じていたのだ。
「これでも召し上がれ」
食事が済んでから葉子は米国から持って来たキャンディーを二人の前に置いて、自分は煙草を吸った。貞世は目を丸くして姉のする事を見やっていた。
「ねえさまそんなもの吸っていいの?」
と会釈なく尋ねた。愛子も不思議そうな顔をしていた。
「えゝこんな悪い癖がついてしまったの。けれどもねえさんにはあなた方の考えてもみられないような心配な事や困る事があるものだから、つい憂さ晴らしにこんな事も覚えてしまったの。