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せんそうはぼくをおとなにした
戦争はぼくをおとなにした
小川 未明
「童話」1947(昭和22)年2、3月合併号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,627 字 · 11 页
このとき、突然、店の大きな戸があいて、おかみさんが、顔を出しました。
「みんないい子だから、土のかわくまで、あっちへいって、お遊びなさい。霜どけで、ころぶと着物がよごれますからね。」といいました。
ふたりは、これをしおに、ここをはなれ、道普請の砂利がつんであるほうへ、あるいていきました。
そのとき、清吉は、ちょうど染め物屋の前を通りかけていました。かれは、まだ十歳ぐらいの少年であります。この朝、母のいいつけで用たしにいく途中でした。
いまゆかいそうに、とんでいった、小さな子どもたちの姿を見て、かれは、自分にもかつてあんな時代があったと思うと、そのころのことが、一つ一つ目に浮かんで、すべて楽しいことばかりだったような気がしました。ことに、父親が、戦争にいかず、家ではたらき、また家も焼けなかったら、その楽しい生活は、いまでもつづいて、自分は、しあわせであったろうと思うのでした。
かれは、昔あそんだ、友だちの顔などを、ぼんやり記憶から、呼びもどしていると、ふいに、
「おばけがきた。」という、さっきの子どもたちの高い声がして、その空想は破られたのでした。
清吉は、顔をあげて、声のする方を見ました。