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せんそうはぼくをおとなにした
戦争はぼくをおとなにした
小川 未明
「童話」1947(昭和22)年2、3月合併号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,627 字 · 11 页
「おばけがきた!」
「こわいよう、おばけがきた!」
ふたりの子どもは、道の上でであった、おばあさんに向かって、ちょうど、臆病犬が、遠吠えをするときのように、ののしっているのでした。
これを見た、清吉は、なにごとだろうと思い、できるだけ早く、そこへと近づいたのでした。
「あっ、おばあさんが泣いている。」
かれは、そうさとると、胸がどきどきとして、急に目頭が熱くなりました。
「いったい、どうしたことだろう?」と、清吉は、立ち止まって、このありさまを見つめたのです。
さむいけれど、空気は、音のはねかえるほど澄んで、さえきっていました。また、ふたりの子供は、ぴちぴちとして、これから伸びようとする盛りだったから、なにをみても、おもしろく、みなれぬ姿は、おかしかったのです。
美しいものには、すぐに飛びついたであろうし、みにくいものは、すべておばけにみえたのでありました。ふたりの子どものみずみずしさにくらべて、このおばあさんは、またなんと、暗く、しなびきって、みじめでありましたでしょう。だれでも、年をとると、これがしぜんの姿であり、この姿は、やがてはてしない暗い方へ向かって歩くものだということをすくなくとも、この子どもらには、知りようがなかったのです。