轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

せんじょう

戦場

夢野 久作

「改造」改造社、1936(昭和11)年5月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,769 字 · 51 页

青空文庫

その傍には工兵らしい下士卒が入れ代り立代り近附いて来て、大佐が指さした負傷兵を手取り足取り、引立てながらどこかへ連れて行く様子である。

私は軍医大佐の熱心ぶりに感心してしまった。

昼間見た時の同大佐はヒンデンブルグ将軍を小型にしたような、イヤに傲岸、冷血な人間に見えた。今頃はズット後方の掩蔽部かキャムプの中で、どこかの配給車が持って来た葉巻でも吹かして納まり返っている事と思っていたが、まさかにこれ程の熱情を持って職務に精励していようとは思わなかった。

そうしたワルデルゼイ大佐の精励ぶりを見ると同時に私は、私の良心が、私の肺腔一パイに涙ぐましく張り切って来るのを感じた。そうしてイヨイヨ一生懸命になって、追い立てられるように、次から次へと負傷者の手当を急いでいたものであったが、間もなく私の間近に接近して来たワルデルゼイ軍医大佐は、私がタッタ今、腓を手当てしてやったばかりの将校候補生の繃帯を今一度解いて、念入りに検査し始めた。

それを見ると私は多少の不満を感じたものであった。

……それ以上の手当は現在の状態では不可能です……

という答弁を、腹の中で用意しながら、掌の血糊をゴシゴシと揉み落しているうちに、果せる哉、軍医大佐の電燈がパッと私の方へ向けられた。