轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

せんじょう

戦場

夢野 久作

「改造」改造社、1936(昭和11)年5月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,769 字 · 51 页

青空文庫

「わかりました」

大佐の演説の身振りがだんだん大袈裟になって来た。

「……よろしい……もうすこし云って聞かせる……近い中に独逸の艦隊が、英仏の聯合艦隊をドーバーから一掃してテイムス河口に殺到する。そうしたら倫敦は二十四時間の中に無人の廃墟となるであろう。一方にヴェルダンが陥落してカイゼルの宮廷列車が巴里に到着する。逃場を失った聯合軍はピレネ山脈とアルプス山脈の内側で、悉く殲滅されるであろう。独逸の三色旗が世界の文化を支配する暁が来るであろう。その時に汝等は一人残らず戦死しておれよ。それを好まない者はたった今銃殺してやる。……味方の弾丸を減らして死ぬるも、敵の弾丸を減らして死ぬるも死は一つだ。しかし光栄は天地の違いだぞ……わかったか……」

「わかりました」

大佐は演説の身ぶりをピタリ止めて、厳正な直立不動の姿勢に返った。右手を揚げて列の後尾を指した。

「……よし行け……その左翼の小さい軍曹……汝の負傷は一番軽い上膊貫通であろう。汝……引率して戦場へ帰れ。負傷が軽いので引返して来ましたと、所属部隊長に云うのだぞ……ええか……」

「……ハッ……陸軍歩兵軍曹……メッケルは負傷兵……八十……四名を引率してヴェルダンの戦線に帰ります。