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うちあけばなし

打あけ話

宮本 百合子

「東京日日新聞」1937(昭和12)年2月9~11日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,441 字 · 7 页

青空文庫

そのことを仲つぎしている若い人に話したら、その男も「ハア、そうですか。この分のは紙がわるくなっていると矢張りよそさんから苦情が出ております」と小頸を傾けた。二日ばかりして、また来ていうことには、「どうも弱りました。製紙会社が合同して王子へ独占になったような形なので、競争がなくなったもんですから、一般に紙質をわるくしてしまったんだそうです。同じ名や番号の紙でもやっぱり質は下って来ているんで、どうも……」と頸のうしろへ手を当てた。

丸善の原稿紙は紙はよいが、型の小ささやインクの色などがアカデミックで、私たち向きの小説向きでない。きっと益々紙の質は、わるくなる世の中だろうと思っている。

三 きのうの相場

一月の中ごろに、引越しをして小さな家を持った。これまで家を持たなかったわけではないから、いろいろな世帯道具は大体古くからのがあったが、鍋や釜、火箸、金じゃくし、灰ふるい、五徳、やかんの類は、そう大していいものをつかっていた訳もないので、みんなどっかへとんでしまったり、悪くなったりしていて役に立たない。引越しの手伝いをしてくれた女のひとが、さし当りの入用品として、それらの品物を近所でそろえてくれた。