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ぎじゅつのてつがく
技術の哲学
戸坂 潤
「技術の哲学」時潮社、1933(昭和8)年12月13日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,443 字 · 164 页
だが無論そういうものは創造でも何でもなくて、空想の興奮でしかないだろう。
独創はなるほど個性的で天才的で創造的なものだ。併し個性とか天才とか創造とかいう概念が初めから奇妙に理解されていたとしたら、この言葉が全く何の役にも立つまい。本当の独創本当の創造はどういうものとして理解されねばならぬか。
吾々は大体こう思うのである。独創(創造)というのは新しい公式の抽出のことであると。併し新しい公式は天降って来るのでもなければ突然飛び出して来るのでもない。以前の諸公式の展開と総合とから、初めてそれが結果するのである。この結果が与えられた前の諸条件から物的に上昇している処に、その飛躍的な新しさと独特さとがあるのである。事物はそれ自身に於て展開し抽象し又総合しながら運動して行くわけだが、独創(創造)というものは、外でもないこの運動を俊敏に追跡することに他ならない。
独創をこういう風につかむことは、之を文学的に理解する代りに云わば技術的に理解することであると云っても好いが、そういう独創が社会主義の社会では無くなりはしないかという心配は、だから全くの取越苦労という外はないだろう。