轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
だきみょうがのせつ
抱茗荷の説
山本 禾太郎
「ぷろふいる」1937(昭和12)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,330 字 · 34 页
はたして午後から吹きだした風は夕方から雨をよんで、夜になって暴風雨となり、ふけるにしたがってますますはげしく、この邸を包む大きな森の木という木はものすごい嵐のなかにものの化のように無気味な踊りをつづけた。磨ぎすました斧を右手にさげた芳夫が暗い廊下に立っていた。さすがに丈夫な建物も嵐の吹きつける度毎に不気味に鳴り、横なぐりの雨は雨戸にすごい音をたてた。芳夫は静かに障子を開いた。未亡人は連日の疲労に身も心も萎えきったように、力なく夜着の上に両手をだらりとのせてよく眠っているようだった。そっと枕元まで忍び寄った芳夫は斧を振りあげた。また、はげしい雨が雨戸を横なぐりに過ぎた。激しい、絹をさくような声とともに次の間から走りだした君子は、未亡人のそばに膝をついた。未亡人は梅のようなかたちの痣のある左の胸を露わして、細く開いた目にいっぱいの涙をためていた。