轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
おしいれずいひつ
押入れ随筆
吉川 英治
「暮しの手帖」暮しの手帖社、1957(昭和32)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,648 字 · 14 页
梅の味
純粋な下町ッ子である永井氏の好みに合ったか否か、まだそこは聞いてないが、由来、東京の下町人は、みそ汁には、やかましい卓説をもっていたものだ。けれど、この頃の人の好みは知らない。わが家の例に見ても、若い子たちがもっぱら言うのは、ポタージュやコンソメについてである。みそ汁のみそのごときは、何でも同じだと思っているらしい。
梅の味
みそと共に、もひとつ、若い人に縁のない食餌は、梅干だろう。尾崎一雄氏が“風報”の誌上で、曾我村の梅干の自慢?を書いたことから、私たちの友人間でも、どうかすると、そんな枯淡な話が出る。特に私は、梅の名所といわれる奥多摩の吉野村に十年も疎開生活していたことがあるから、梅干にかぎらず、梅に関するものには、自然郷愁めいたものを覚えるのだった。
先日も、さる会で、小林秀雄氏とそんな話題になったところ、小林氏はある年、尾崎氏にさそわれて、小田原在の曾我村へ、梅見に行ったことがあるよしで、『それは君、あそこの梅というものは、花を見るだけでも、すばらしいよ』と言い、また、『何しろ、梅の実を採るためだろうが、梅の木の根へ、ふんだんに、鰯の肥料を、埋けてやるというんだからね、ぜいたくだよ』