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たんていしょうせつのなぞ
探偵小説の「謎」
江戸川 乱歩
1 奇矯な着想「オール読物」文藝春秋、1954(昭和29)年10月号<br>2 意外な犯人「週刊朝日 推理小説特集号」朝日新聞社、1955(昭和30)年10月10日<br>3 兇器としての氷「犯罪学雑誌」日本犯罪学会、1952(昭和27)年3月復刊号<br>4 異様な兇器「読切小説集」テラス社、1953(昭和28)年11月増刊<br>6 隠し方のトリック「探偵倶楽部」共栄社、1953(昭和28)年8月号<br>7 プロバビリティーの犯罪「犯罪学雑誌」日本犯罪学会、1954(昭和29)年2月号<br>8 顔のない死体「探偵倶楽部」共栄社、1952(昭和27)年5月号<br>9 変身願望「探偵倶楽部」共栄社、1953(昭和28)年2月特大号<br>10 異様な犯罪動機「宝石」岩谷書店、1950(昭和25)年8―11月号<br>11 探偵小説に現われた犯罪心理「文化人の科学」、1947(昭和22)年3月号<br>12 暗号記法の種類「宝石」、1953(昭和28)年9・10月号「類別トリック集成」の一部<br>13 魔術と探偵小説「新青年」、1946(昭和21)年10月号<br>14 明治の指紋小説「宝石」、1950(昭和25)年12月号<br>15 原始法医学書と探偵小説「自警」、1951(昭和26)年9月号<br>16 スリルの説「ぷろふいる」、1935(昭和10)年12月号<br>「類別トリック集成」目次「続幻影城」早川書房、1954(昭和29)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,820 字 · 235 页
キリスト教の聖典に残っている奇蹟すらも、ある場合には一種の手品であったという解釈が行われる。奇術の起源を古代にさかのぼれば古くは原始呪術から、あらゆる偽宗教のまどわし、中世のウィッチクラフトや錬金術などと縁を引いているし、日本でいえば「書紀」にしるされている大陸渡来の呪禁師すなわち呪師がやはり呪医と曲芸奇術を兼ね行なったのに始まり、一方大陸渡来の漂泊民傀儡子や、中古流行した放下僧などが日本奇術、曲芸の祖先である。
しかし、現代の手品は民族学の研究対象や神秘学の信仰とは異なり、神秘性呪術性は少しもない。そういうものがありそうに見せかけて、観客の好奇心を誘いはするけれども、その技術は絶対に合理主義をはずれることがない。起源を同じくしながらオカルティズムは超科学のみを取り扱い、手品は科学的手法のみに限定されてきたわけである。この呪法と奇術の絶縁によって、手品は近代的合理主義の世界のものとはなったが、同時に昔の神秘的魅力を失ったことも事実である。
有名な印度奇術に、空中に投げた綱が直立してこれを少年が空高く登って行く云々というのがあって、旅行者の実見談として広く流布されているが、私の見た限りの奇術書では、皆一応これに触れてはいるけれども、そのトリックは不明とし、虚構の伝説であろうというに一致している。