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たんぽうみどろがいけのじゅんさい
探訪深泥池の蓴菜
北大路 魯山人
「星岡 31号」星岡窯研究所、1933(昭和8)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,091 字 · 3 页
このヌルヌルは新芽の発育を擁護するためあるものだと思っていたのに、太い丈夫なところにもあるのを見ると、他に理由があるものらしい。
採っている舟は梯子みたいなものに盥を載せている。南洋土人でも作りそうな原始的な舟であった。この舟に乗って朝六時頃から夕方頃まで採り通しにしている。時たま舟の中で吸う煙草が無上の楽しみだとのことだった。
この池のじゅんさいを採るのに一年に権利金が三百円いる。私が見に行った時の様子では、一日五升くらい採れそうであった。蔓を鎌で舟に引き寄せて、右の拇指の爪を非常に長く伸ばしていてヌルヌルの新芽を人差指の上にのせて切り取るのである。
この池のじゅんさいの中、東京に出て来るのは約二割くらいであった。後は京、大阪辺にさばかれている。東京に出るじゅんさい採りは丸尾といっている。山城屋に渡り山城屋から茶寮などでも買い出している。東京に出荷したじゅんさいの五割以上八割まで星岡に費っている。私が池にほかの人の紹介で出かけて行ったのに、先方はよく私のことを知っていてじゅんさいの瓶を二つくれたり、加茂のかき餅をくれたりして大歓迎だった。他の国でもじゅんさいは方々で採れてはいる。