轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ばんしゅうへいや

播州平野

宮本 百合子

「新日本文学」(第1~11節)、「潮流」(第16・17節)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 106,683 字 · 214 页

青空文庫

「そんなことが出来るもんですか!」

とんでもないこととして、否定した。

「どんだけの人間がたまっているかしれんのに、第一、ベンチなんかあるものですか。あなた、どうされます?」

ひろ子と並んでかけている男に言葉をかけた。

「さあ――どうにかなりましょう。私は、仕事の関係で、この辺はよく往復していますから」

なるたけ、煩雑になりそうなことにかかわるまいとする調子で答えた。あから顔の、快活なところと弱気なところとが不思議にまじりあっている小柄な男は、須波が近づくにつれ、困却を示した。

「須波やったら、私の知っている家もあるし、多分そこで、宿やの世話をしてくれまっしゃろ。奥さん、わるいことは云わんから、一緒にその家へよって見ませんか」

熱心なすすめかたには、本当に、三原の駅でとまることなんか思いもよらないという状況がうかがわれた。一人旅をしているひろ子への親切とか、好奇心とかよりも、何かもっとその身に切迫した熱心さをあらわしている。

「その家も駅からすぐのところやさかい、もしお気に入らなんだら、駅へじき行かれます。若い男がいるさかえ、送らします」

徐行、徐行して、須波の駅へ列車が入り、どやどやと不満な旅客の大群がそれぞれの大荷物を背負ったり、さげたりして真暗な雨の車外に溢れ出したとき、ひろ子は、自分に道づれの出来ていた