轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ばんしゅうへいや
播州平野
宮本 百合子
「新日本文学」(第1~11節)、「潮流」(第16・17節)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 106,683 字 · 214 页
肌寒くなって、ひろ子はリュックから羽織を出してセルに重ねた。そこへ、素早い道づれにおき去られた支店長が、失望の表情で帰って来た。
「困ったことになりましたな、どうも」
入るなり云った。
「今のところ恢復の見込みは全然ないんだそうです。明石から先はいいんだそうだが、そこまでが駄目なんです。もとだったら徹夜をかけて四五日で直したところを、今は何しろ人を動かす米がない、酒がない、資材がないので、まるで見とおしも立たんそうです――弱りましたなあ」
支店長は大阪府下の家族のところから電報が来て帰る途中なのであった。広島へ引かえすにしても、岡山までの汽車さえ、キャバレー主人の乗ったのが最後で不通になってしまった。
「明石まで何とかしてゆけばいいんですね」
「そうどす、明朝トラックを心配して貰うことにしました。もし何やったら、おとなりの兵たいさんがたをのせて上げてもよろしいから。――そのトラックが、果して明石まで行けるやどうやしら。加古川辺が大浸水だそうです」
いよいよとなれば、途中で泊りながら明石まで歩くしかないとなった。それにしても天候が不安定であった。晴れたり降ったりしていた雨は夜に入って、本降りになって来た。