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ばんしゅうへいや
播州平野
宮本 百合子
「新日本文学」(第1~11節)、「潮流」(第16・17節)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 106,683 字 · 214 页
「折角、愉快に道づれになってもろうて、途中で妙なことせたら、寝ざめ悪うてかないませんよ」
「そういう風にお思いにならないでいいのよ。折角気もちよく道づれになったんだから、これから先は私の足相応に、あなたはあなたの足の力で、お帰りになっていいんですよ。全くそうよ。愉快な道づれが、しまいにお互の荷厄介になるのは、こういうとき、つまらない遠慮でやりかたを間違えるからですよ」
加古川の駅でみんな汽車からおろされた。不安な顔つきを揃えて改札口を流れ出た旅客の群は駅前の広場にトラックが二台待機しているのを見て、歓声をあげた。
「まあ、よかったこと!」
ひろ子も、しんからうれしかった。明石まで一人で歩くということは、云うよりもはるかに辛いことなのであった。
二台ともマル通のトラックで、加古川の青年たちが、旅客整理に出ていた。三列で十人。三十人一組一台のトラックに割当てて、二円ずつの料金をあつめた。秩序のあるそのやりかたも、皆を満足させた。
「のこった方は、すぐひきかえしでお送りします」
ひろ子らは、二台目のトラックにのった。加古川の駅前は、船が通るほどの浸水だったと姫路にはつたわっている。