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はせくらじけん
支倉事件
甲賀 三郎
「読売新聞」1927(昭和2)年1月15日~6月26日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 204,697 字 · 406 页
これは困るので一と思案の結果新宿停車場へ連れて行ったと申立たのであります。
警 そうか、停車場に連れて行きどうしたのか。家に帰るには未だ早いではないか。
答 そうです。停車場へ待たせておきまして、自分は用達を致しました。
殺すとしたら大切な玉を、一人停車場に待たせおく筈はない筈です。
警 それからどうした。
答 停車場へ戻って来て目黒行き山手電車に乗りました。そうして宅へ戻りました。
警 小林貞は何処で殺害する気になったか。
答 電車の中で殺意を生じました。
子供ではなし電車で突飛にそんな何ほど鬼だからとて人を殺すなんか恐ろしい心は誰が考えたからとて分ります、起る筈のものではないのです。こゝらの申立ては随分幼稚に出来ているのです。虚偽の申立は先ずこんなものであります。
警 どうして殺す気になったか。
答 当惑々々、暫し思案の結果そうですね、荊妻の前があるから宅へ連れ帰る訳には行かず、それだからとて小林方へ戻す訳にも行かずと申立てゝある筈です。
荊妻の手前など今更何も憚ることはないのです。荊妻はその一切を承知して居るのですから、又連れ出したからとて小林方へその事情をしか/″\と訴え連れ帰られん訳もないのです。