轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ほうろうき(しょしゅつ)

放浪記(初出)

林 芙美子

「女人藝術」1928(昭和3)年10月号~1930(昭和5)年10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 103,349 字 · 207 页

青空文庫

朦朧とした気持ちも、この朝の青々とした空気を吸うと、元気になって来る。

だが楽しみの郵便が、七ツ屋の流れを知らせて来たのにはうんざりしてしまった。四円四十銭の利子なんか抹殺してしまえだ!

私は黄色の着物に、黒い帯を締めると、日傘をクルクル廻わして、幸福な娘のように街へ出た。例の通り古本屋への日参だ。

「叔父さん、今日は少し高く買って丁戴ね。少し遠くまで行くんですから……。」

この動坂の古本屋の爺さんは、いつものように人のいゝ笑顔を皺の中に隠して、私の出した本を、そっと両の手でかゝえた。

「一番今流行る本なの、じき売れてよ。」

「へえ……スチルネルの自我論ですか、壱円で戴きます。」

私は二枚の五拾銭銀貨を手のひらに載せると、両方の袂に一ツずつ入れて、まぶしい外に出ると、いつもの飯屋へ流れた。

本当にいつになったら、あのこじんまりした食卓をかこんで、呑気に御飯が食べられるかしら。

一ツ二ツの童話位では、満足に食ってゆけないし、と云ってカフェーなんかで働く事は、たわしのように荒んで来るし、男に食わせてもらう事は切ないし、やっぱり本を売っては、瞬間々々の私でしかないのだ。