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せいじとさっかのげんじつ

政治と作家の現実

宮本 百合子

「文学」1947(昭和22)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,700 字 · 37 页

青空文庫

前時代の大作家たちは、西欧のひととおりの「文明」が、真摯にとりあげる習慣を失った社会的矛盾の諸苦悩、無知の歎き、無権利な人間の高貴な憂悶などにおいて、西欧とアメリカの知識人をうった。彼らを快よく厳粛にし、彼らに人間的自覚のよろこびを与えた。この大戦中から、ソヴェト文学が世界にもちはじめた読者との関係は、前時代のこの段階をとびこした。それは動きだした。自身の出血に耐えながら人類の正義と解放のためにその社会主義祖国を防衛することで、同時にフランスとドイツの人民的自由を、アメリカとイギリスの進歩的な良識を、防衛し解放する実行者、そのリアルな語りて、平和のための不屈なたたかいてとして、ソヴェト文学は世界の関心にたち現れているのである。二十世紀のはじめピータア・クロポトキンがボストン大学で「ロシア文学の理想と現実」という有名な講義を行った。その当時の内容では、とても予想されがたかった達成が、ソヴェト文学の本質となりつつあるのである。

ジダーノフの堂々として正確な、心情に訴えるソヴェト作家への忠言は、わたしたち日本の作家からみれば、まだまだソヴェトの作家の独自性のよろこびと自覚とにたいして、ひかえめの注意しか喚起していないとさえ感じられるのである。