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きゅうこくろん
救国論
中谷 宇吉郎
「西日本新聞」1955(昭和30)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,072 字 · 2 页
近年米国南部および加州の一部では、水田米作が普及してきて、肥後の寿司米のような米が、どんどん出て来ている。亜熱帯の気候で、水田米作には絶好の地理的条件にあるので、別に不思議なことではない。土地はまだまだ充分にあるので、需要さえあれば、米はまだいくらでも出来る。
いま一つの資料は、米国人が、日本酒を案外に好むという点である。いつかワシントンで、もと司令部にいた人のところを訪れたら、日本酒を出された。誰かに貰ったのかときいたら、「ワシントンの酒店で、日本酒を売ってない店は一軒もないよ」という返事であった。
事実、シカゴでも、パーティに人をよんで、日本酒、ウイスキー、カクテルと揃えておくと、十人中九人まで日本酒を所望する。初めは好奇心であるが、飲んでみて、誰も彼も、非常に美味いと感心する。まんざらのお世辞でもなさそうである。
それで一つ妙案が浮んだわけであるが、日本酒をアメリカに宣伝して、大いに売り込む。そして代金を米で貰うことにしたら、恐らく、アメリカに輸出する日本酒のために潰す米の、少なくも三倍の米が、日本へはいって来ることになるであろう。
これは半分冗談であるが、現在のイギリスで、最重要輸出品の一つが、ウイスキーであることは、知っておく必要がある。