轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
すうがくとごがく
数学と語学
寺田 寅彦
「東京帝国大学新聞」1929(昭和4)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,575 字 · 7 页
あまり道具を尊重し過ぎて本然の目的を忘れるのは有りがちな事であるから、これもよく考えてみなければならない。
ついでながら、先日ある日本語の上手な漢字も自由に書けるドイツ人から聞いた話によると、漢字を学ぶ唯一の方法は、ただ暇さえあればそれらの文字とにらめくらをする事だといっていた。なるほどあの根気のいいドイツ人に、日本語のうまい、そして文字までも書く事のできる人の多いわけだと思った。もしかすると、ドイツ人がいったいに数理的科学に長じているように見えるのは、やはり同じ根気のよさ執拗さに起因しているのではないかという疑いが起こった。そう考えてみるとドイツ人の論文の中に、少なくもまれには、愚にもつかない空虚な考えをいかめしい数式で武装したようなのもある、そのわけが読めるような気がした。
しかしなんといっても、あらゆる言語のうちで、数学の言語のように、一度つかまえた糸口をどこまでもどこまでも離さないで思考の筋道を続けうる言語はない。普通の言語はある所までは続いていても、犬に追われたうさぎの足跡のように、時々連絡が怪しくなる。思うにこれは普通の言語の発達がいまだ幼稚なせいかもしれない。