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ぶんかさい

文化祭

坂口 安吾

「小説新潮 第八巻第九号」1954(昭和29)年6月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,978 字 · 28 页

青空文庫

もろもろの関係のうち、金銭関係ほど密接無二のものはない。人間が裸体である時よりももっと裸の関係だ。この関係にある時こそ人の心と心が最もふれ合う時なのである。借金をとられる奴ととる奴とが熱烈な恋におちるのが人生の自然というものであるのに、人生は皮肉だ。貧乏人にも高利貸にも美人がいないから、不幸にして偉大な恋愛が生れない。それにつけても小森ヤツ子の颯爽たる武者ぶりよ。けなげなる色気よ。あふれるような情感だ。これを一口たべなければ男というものではない。

信二は五助を人気はなれたところへ呼んで、

「実はこれこれで、小森ヤツ子が二等運賃を請求しているが、キミひとつ幹事長の悪役をやってもらいたい」

「おやすいことです。しかし、女性一人ぐらい二等で帰してもいいじゃありませんか」

「いけませんね。彼女は所持金もあるようだから、帰りの三等運賃も差上げなくともよろしいかも知れませんね」

「そこまではボクにはやれそうもありませんが」

「イエ、そのときはボクがやります。では、ひとつ、幹事長」

「ハイ、ハイ。かしこまりました」

信二は五助をつれてきてヤツ子に紹介した。五助は大きな会社の重役かのように悠々と煙草をくゆらしながら、