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ぶんがくとせいかつ
文学と生活
宮本 百合子
「入門文学講座 第三巻」新日本文学会、1950(昭和25)年3月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 17,476 字 · 34 页
この講座でわたしの受けもちは「文学と生活」である。この課題は、考えれば考えるほど複雑で規模が大きい。どこからまとめていいかわからないような心持さえする。すべての文学は生活から生れ、生活のうちにかえってそこに生きついてゆく。生活と文学のこの関係は万葉集の時代から今日までつづいている。だから歴史的にみてくると、文学と生活はとりもなおさず階級社会とその文学史のようなものになりかねない。ところでその社会と文学との関係については第二巻で蔵原惟人が「文学と世界観」を書いているし、第四巻では近藤忠義が「日本の古典」を書いている。また同じ第四巻にはいろいろの角度から日本の文学、プロレタリア文学の歴史がとりあげられることになっている。広い意味でいえば、これらの題目はみんな文学と生活の関係を語るものである。
では、わたしはどういうことから話しだすのが便利な方法だろう。この文学講座第一巻に中野重治が「これから小説をかく人へ」という文章を書いている。これはわかり易く、そしてふれなければならない大事な話もおとしていない。第一巻を読んだ人がつまり第四巻を読むのだろうし、またその逆でもあるわけだろうから、わたしは中野重治がふれているいくつかの点をもう少しつっこんで話してみることにしようと思う。