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ぶんがくとせいかつ
文学と生活
宮本 百合子
「入門文学講座 第三巻」新日本文学会、1950(昭和25)年3月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 17,476 字 · 34 页
中野重治は小説を書こうとするほどの人ならばその人は人生を愛して、人のためにも骨おしみをしない者でなければならないこと――できることは必ずすすんで実行する勇気をもった人であるべきことをいっている。そして小説を書くほどの人は、人類が尊い努力と犠牲によって歴史をおしすすめてきた真理に対して私心なくその価値を認めて、人々とともにその人間の知慧の成果を分けもつことを心からよろこべる人であるはず、とも云っている。文学と生活との関係については、これらが本当にかなめなところだと思う。
戦争中日本のわたしたちが軍国主義一点ばりの権力によって、どんな日々を送りどんな死にかたをさせられ、きょうの生活にいたっているかということをふかく思えば、この四年間、日本の人民が「人間として生きる権利」をとり戻すために各方面に骨を折ってきた意義は実に大きい。けれども一九四九年には吉田内閣が議会で絶対多数の勢をかりて、旧い支配階級の勢力をもりかえし、人民がこの社会をもう少しは人間らしく、平和で安心して、住みよいところにしたいと思って試みるあれやこれやの努力を抑圧するために数々の法律や規則をつくった。