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ぶんがくとせいかつ

文学と生活

宮本 百合子

「入門文学講座 第三巻」新日本文学会、1950(昭和25)年3月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 17,476 字 · 34 页

青空文庫

や「一分ゲーム」や「私は誰でしょう」などは、瞬間瞬間をこまぎれにしてちりぢりばらばらのトピックに注意を集中させるようにできている。全く考えに沈潜する習慣を失った、散漫で、お喋りな人間――自分に何も分っていないということについて、全く気づいていない人間をつくるに役立っている。よくならされた犬のように、ヒントで支配される隷属的人民をつくるための方法であるとさえ云える。

封建性がのこっているために、目前の権力に屈従しやすい日本の習慣の上へ、第一ヒント、第二ヒント、ヒントで導かれる心理習慣に抵抗しなかったら、わたしたちの生活と文学の自立、独立性とはどうなって行くことだろう。

小説は、よんでいる間だけすらすらと面白ければそれでいいのだ、深刻に考えるようなあと味がのこったりしてはいけない、というあるジャーナリストの意見に正宗白鳥が賛成している。これはリーダーズ・ダイジェストの編輯方針と全く同じである。自然主義から出発して「牛部屋の臭い」というような小説をかいた白鳥が、こんにちでは日本の現実からはなれて「日本脱出」という風な作品をかいて、小説までも知覚的な気まぎらしであることに同意していることは、自然主義的な白鳥のリアリズムのこんにちにおける敗北を語っている。