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ぶんがくてきじょうぜつ

文学的饒舌

織田 作之助

「文学雑誌」1947(昭和22)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,597 字 · 10 页

青空文庫

すくなくとも秋声の叫ばぬスタイル、誇張のない態度は、僕ら若い世代にとってかなわぬものの一つだ。しかし、文学の態度は、自然主義だけではない。文学というものは、結局誇張だと思うところから、ジタバタ書いて行くのが、若い世代の文学であろう。誇張ぎらいのスタンダールの「赤と黒」もスタンダールの自己主張と思えば、やはり一つの誇張だ。読売の僕の小説に、もし今までの作品とちがうものがあるとすれば、文学は誇張だとはっきり自覚した僕の若さが作品を燃えさせている点であると、うぬぼれている。この僕の考え方はまちがっているかも知れない。しかし「縮図」に対決するには、もうこの一手しかない。僕はこんどの読売では、今まで一時間足らずで書けた一回分にまる一晩費している。題を決めるのに一日、構想を考えるのに一日、たのまれてから書き出すまでに二日しか費さなかったぐらいだから、安易な態度ではじめたのだが、八九回書き出してから、文化部長から、通俗小説に持って行こうとする調子が見えるのはいかん、調子を下すなと言われたので、決然として、この作品に全精力を打ちこむ覚悟をきめた。危いところだった。