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ぶんげいじひょう

文芸時評

宮本 百合子

「東京朝日新聞」1932(昭和7)年1月28~31日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,930 字 · 16 页

青空文庫

すらすらと読める文章を書こうとして、土台をがっちり打ちこむことをおるすにし、その文章の上でさえ、大衆のかたまった力、熱、メリハリを再現することに失敗している。

この正月、徳永直が何かで菊池寛その他ブルジョア作家のうまさということをいい、われわれもああいうものを書かねばならぬという意味をいっていた記憶がある。

われわれは、たしかに、うまい、面白いものをどしどし書かなければならない。けれども、その面白さ、うまさが万が一にもブルジョア大衆作家の持物と同じ種類であったとしたらそれは問題外だ。

われわれはこの経済恐慌による支配階級のファッショ化に対して、失敗の中から起き上り起き上り、勇ましく闘う未組織大衆を書くだろう。だがそれを書くプロレタリア作家自身の観点が未組織大衆の観点であるということは許されないのだ。〔一九三二年一月〕