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ぶんげいじひょう

文芸時評

宮本 百合子

「報知新聞」1937(昭和12)年8月25~29日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,869 字 · 14 页

青空文庫

それにもかかわらず、まだ健康も十分恢復していないのに、出獄してからもういくつかの執筆をしている。中本さんらしい骨身を惜しまなさが感じられるのである。「白衣作業」(文芸)もその一つの作品である。これまで、こういう題材が婦人作家にとりあげられたことはなかった。そしてこの作者らしい力をこめた感情の緊張で全篇が貫かれている。

菊池寛氏が東日の「廻旋扉」でこの作者が昔の浮上ったところをふるい落したことを買っていたが、しかし、あの批評を、作者自身は何とよまれたであろうか。

元よりも落付いたというような局部的なことは当っているかもしれないが、あの批評を全体として見れば、作家が作家に向っていうものとしては随分変なものであった。何だか役人ぽい。そして、大旦那っぽい。小説をかくものには刑務所もためになるとか、自分が「機嫌を直した」とか。ああいう程度の言葉が、褒めたような印象を誤って一般に与えるところに、謂わば今日の文学の時代的な弱さがかくされているのである。

中本さんが昨今書かれるものには、大衆の生活と発展というものを見る角度、労働というものを見る角度に、独特の見解が示されて来ているのであるが、「白衣作業」