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どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
室生犀星『文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子』。同一底本的分册已合并为一书。收入:童子、ゆめの話、あじゃり、蛾、幻影の都市、香爐を盗む、三階の家、しゃりこうべ、天狗、童話、後の日の童子、不思議な国の話、不思議な魚、みずうみ。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 177,454 字 · 357 页
「ヴァイオリンのような高い声などが人間に出るものか。」
「そこを出すのがいいのじゃないか。ヴァイオリンは今の場合伴奏にすぎないんだよ、伴奏なんだよ。」
と遣り込めると、さきの男は、
「伴奏というのは別の曲を弾くことなんだ。メロディばかりじゃないか。」と、これも唱いながら噛みつくように喚いた。
「生意気をいうな。――そら間違った。もっと長く引くんだ。ほやほや惚れた――とこういう風に」。
ヴァイオリン弾きは、かれを横目で見ながら、決してこの男などに負をとらないという暗示を与えるようにツケツケ叫ぶのであった。
歳太郎は黙っていたが、さすが子供のときからの友だちの前で啀み合っている仲間を見られた極まり悪さに陰気になって考え込んでいた。
「こんな口諍いは毎日なんですよ。どうにもならないんですからね。」
歳太郎は子供のときから明笛や流行唄などを上手くうたったが、こんな処へ墜ちてきた自分をいつもかれの前では蔑んでいたのである。
「どちらでも同じことなんだよ。僕なんぞも君らのような仕事さえできなくてのらくらしているんですよ。」と、彼は彼で低い沈んだ声で囁くのであった。
「だって為るにも事欠いて唄うたいなんですからね。