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どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
室生犀星『文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子』。同一底本的分册已合并为一书。收入:童子、ゆめの話、あじゃり、蛾、幻影の都市、香爐を盗む、三階の家、しゃりこうべ、天狗、童話、後の日の童子、不思議な国の話、不思議な魚、みずうみ。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 177,454 字 · 357 页
連れてこないときは、決って子供へのみやげの、パンとかお弄品とかの包みをかかえていた。それがあまり定りすぎたものを見るようではあったが、恩樹は、自分で赤ん坊にお湯までつかわせるほど、好きだった。
「君のところでは、どうして子供ができないんだ。妻君はからだもわるくないし。」
恩樹は、濁らない美しい目をして、よく私にそう言った。
「どうしてかな。しかし今子供なぞできたりすると困るんだ。何の用意もないし、貧乏だし……。」
私はつとめてその話を避けるようにした。眼を逸らせるようにしたのである。
「子供は実に可愛くていいよ。」
恩樹は、まるで天にでも捧げるように高々と子供を抱いては、遠い中野の奥までかえって行った。町へ出ようとすると一しょに連れてッてくれと聞かないんだ。つイ可哀そうになってね……恩樹は、嘘をついたことのないような顔を、その子供の頬に触れさせて言った。
家主の婆さんは、女が犬を可哀がるのを厭がって、
「犬なぞお置きになるから、子に、遠いんですよ。むかしからそういうんですよ。」
そう言っては、くるごとに嫌いな犬をしっしっと門のそばで、半ばコワがりながら叱っていた。