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どうじ

文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子

室生 犀星

室生犀星『文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子』。同一底本的分册已合并为一书。收入:童子、ゆめの話、あじゃり、蛾、幻影の都市、香爐を盗む、三階の家、しゃりこうべ、天狗、童話、後の日の童子、不思議な国の話、不思議な魚、みずうみ。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 177,454 字 · 357 页

青空文庫

恩樹は、もう次ぎの子どもを抱き、さきの女の子には、夏はすずしい白のレースの洋服をきせて歩かせていた。

「子供ができると、からだがさっぱりするそうですよ。ことにあなたは頭がいたむなんてよく言いますからね。」

恩樹は、女の前でこう言っては、悒々しているのは、生むものを生まないせいだよ、そう当らず触らず私に言っていた。そんなときでも、よい育ちをした恩樹の眼は静かに澄んでいたのである。

「できないものをどうにも為様がない。」

私のいうことは、それだけだった。が、心にはすこしずつ子供がほしかった。時々考え込むと、よく十年前にいたことのある下宿屋の若夫婦が、二人きりになって寝ていたが、いつまでも子供ができなかった。夫婦がごろりと二人きりで寝ているのは、綾もないうそ寂しいものだと、やっと思うようになった。そういえば自分等もいつも定って起きるにも寝るにも二人きりだった。花も綾もない。そして手頼りなくしまいには子供のないことが、夫婦きりであることに曾つてない羞恥さえかんじさせた。

が、愈々子供ができるとなると、自分というものを知っているだけに、何んだか不具ものなぞできはしないかと、妙に不安になり、いっそ今まで通りに生れない方がよいとも思えた。