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となんせんせい
斗南先生
「光と風と夢」1942(昭和17)年7月15日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,262 字 · 44 页
どうにも仕方がなかった。三造は苦笑しながら、またしても四円なにがしのタクシイ代を払った。
伯父を送りとどけると、三造はほっと荷を下した気になって、すぐに、ひとりで京都へ遊びに出かけた。京都には、この春、京都大学にはいった高等学校の友人がいた。二日ほど、その友人の下宿に泊って遊んでから、八尾の従姉の家に帰ると、玄関へ出て来た従姉が小声で彼に告げた。三ちゃんが黙って遊びに行ってしまったって大変御機嫌が悪いから、早く行って大人しくあやまっていらっしゃいと言うのである。昨日は大変元気で鯛の刺身を一人で三人前も喰べたのはいいが、そのおかげで昨夕は何度も嘔吐や腸出血らしいのがあったのだとも言った。何しろ医者を寄付けようとしないので従姉も困っているらしかった。二階へ上って行くと、果して、伯父は大きな枕の中から顔を此方へ向け、黙ってじろりと彼を睨んだ。それから突然、掃除をしろと言い出した。彼が、座敷の隅にかかっていた座敷箒を取ろうとすると、まず、自分の寝ている床の上から掃かなけりゃいけないと言う。小さな棕櫚の手箒で蒲団の上を、それから座敷箒で、その部屋と隣の部屋まで、とうとう三造はすっかり二階中掃除させられてしまった。